【ネタバレ考察】映画『ドラゴンクエスト YOUR STOЯY』の「R」が反転しているのは、なんで?

ついに、ついに公開された映画『ドラゴンクエスト YOUR STOЯY』!! すでに鑑賞した人たちは息しているかな? 感動しすぎて……あるいはショックすぎて過呼吸になっていないか心配ですが、いかがお過ごしでしょうか。

ところで副題の『YOUR STOЯY』だが、「R」が反転しているのは一体なぜなのだろうか? 

・自己主張が強めの『Я』

本作を見た人はお気づきだっただろうか? エンド直前に出る映画タイトルでは、いったんフツーに『R』で出していたのを、これみよがしにクルリ! と、わざわざひっくり返すさまを見せて『Я』へと反転させていたのだ。かまってちゃんかよ! 

いや、これは映画製作者から出された宿題であり、1つの試練なのだろう。そこで、ここからはほんの少しのネタバレ含みで『Я』の意味を考察したい。

もしかしたら、まだ本作を鑑賞していない好奇心旺盛な読者がこのページに迷い込んでいるかもしれないが、そうであればまずは映画館で作品を鑑賞してから読み進めるか、こちらの “ネタバレなし” の記事を読んでその知的好奇心を鎮めていただきたい。

それでは以下が『Я』をめぐる2つの仮説だ! 繰り返すが、この先はネタバレを含む!!

①『STORY』の中に『私(Я)』?

インターネットで調べるとすぐにわかることだが、『Я』はロシアなどで使われているキリル文字の1つで「私」を意味しているとのことだ。英語で言うところの「I」である。この文字を『STOЯY』の中に忍び込ませることによって、“物語の中に私が存在する” という意味で受け取ることができる。

つまり『YOUR STOЯY(あなたの物語)』の “あなた” とは、主人公のリュカだけでなく、観客である『私(Я)』たち一人ひとりも含まれている、『ドラゴンクエスト』の世界には私たちは存在する──という、映画製作者から観客に向けた隠れたメッセージなのかもしれない。

②もう1つの「Яeality(現実)」?


映画の終盤では、主人公のリュカと敵のミルドラースとの間で、こんなやりとりが交わされる。

ミルドラース「それ(ドラゴンクエストⅤ)は、虚無だ!」
リュカ「違う! もう1つの現実だ!!」

『ドラゴンクエスト』という “虚無・虚構” の世界に、その対極を意味する「現実」があるのだと主人公のリュカが訴えるシーンである。このやりとりを見て思い出したのが、その昔カルト的人気を誇ったブラックマヨネーズさんのラジオ番組での会話だ。少し記憶があいまいだが、おおむねこんな内容だったはずだ。

吉田「ドラクエやっててダンジョンから出てきたとき、空気おいしいもんなぁ!」
小杉「いや家やから、ゲームしてるの!(笑)1歩も外出てへんわ」

小杉さんのツッコミはごもっともだが、吉田さんのこの一言には爆笑したと同時に、非常に共感した覚えがある。わたしもゲーム内でダンジョンから出ると空気が美味しく感じてしまう! その空気の美味しさは、リアリティを帯びているのだ。

“ゲームは時間の無駄で下らない” ──という人もいるが、私はそうは思わない。全否定する。ゲームは人生を豊かにしてくれるし、例えば『ドラクエⅤ』には出会いと別れ、親との死別、恋、結婚、出産。成功と挫折。絶望と希望。努力と達成。悲しみと喜び、そして始まりと終わりと、多くの学びがあるのと同時に、まさに私たちが人生で経験する「現実」が確かにあるのだ。

話を映画に戻すが、リュカのセリフ──「『ドラクエ』はもう1つの現実だ」──という言葉、これには私も異論はない。『R』が反転された『YOUR STOЯY』という副題は、現実世界(Reality)とはもう1つ別の「Яeality」が『ドラゴンクエスト』の中にはあるという、心の叫びを表したのかもしれない。

・正直どっちでもいいし、どうでもいいかも

最後はちょいとアツくなってしまったが、以上が『Я』をめぐり私が立てた2つの仮説だ。みなさんはどう思われるかな? 正解は何なのか、どっちもなのか、あるいはまったく別の意味があるのか……。いずれにしても、それはささいなことだ。『ドラクエ』の中に『Я(私)』は在るし、もう1つの「Яeality」があることは確かだから。

参照元:『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』、Instagram @dq_movie
Report:ショーン
Photo:RocketNews24.
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……と、こんな具合に賛否両論が巻き起こりそうな映画が、8月2日公開の『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』だ。筆者は一足先に試写会で鑑賞する機会に恵まれたのだが、今回は「ネタバレなし」でその感想を述べたいと思う。

・ひと言で感想を言うなら……「動揺」

まずは感想をひと言で述べると……月並みに「驚愕」とか「衝撃」でもいいのだが、スーパー正直に言わせてもらうと「動揺」である。決して悪い意味での「動揺」ではないが、かといって良い意味でもないことは強調しておく。

本編中に「そう~きたか……!」と唸ってしまうような、ある “驚きの展開” があり、思わず試写室のイスから転げ落ち……るほどではないが、それでもフツーの映画館で見ていたらビックラこいてポップコーンを落としていたかもしれない。それほど「動揺」したのだ。

なんなら動揺しすぎて笑った。と同時にグッときた。まぁ泣きはしなかったものの、当初「こんなカンジの映画だろうな~」と想定していた内容のナナメ上を行く展開で、完全に意表を突かれたのだ。ともかく色んな意味で心と感情が揺さぶられる、そんな作品だった。

と、まぁネタバレになるのであまり多くは語れないが、結論から言うとファンはもちろん、原作(『ドラゴンクエストⅤ』)をプレイしたことがない人も絶対に見に行ってほしい! この夏は間違いなくドラクエの話題で持ち切りになるだろう。(新作ゲームも発売されるし)

── はい! これで言いたいことは大体、言えました。このまま終わってもいいのだが、せっかくなので以下に私が思った「良かった点」「残念だった点」をネタバレなしでつらつらと述べていくぞ!

・良かった点① コレが見たかった! 動く「ドラクエ」の世界

ゲーム『ドラクエⅤ』におけるバトルシーンでは、実際に ”攻撃” をする様子が描かれておらず、斬撃のようなエフェクトが画面にちらっと映るだけ。♪ピロピロッ! デュクシッ! 的なサウンドで戦闘が進み、良くも悪くも淡泊だ。

しかし、フル3DCGアニメーションの本作では、武器を手にしたキャラクターたちが縦横無尽に動き回り、モンスターをズバーー! っと切り裂いては、手から攻撃呪文を迫力満点に繰り出すのだ。さらに蹴散らされたモンスターたちは、あたりにお金やお宝もブチまける。

……コレだよ、コレ! 子どもの頃、スーパーファミコンでプレイした時の脳内補正を見事に映像化しているのだ。古くからのゲームファンからは「動かないからいいんじゃあないか」という意見もありそうだが、だまされたと思って見てほしい。理屈抜きでカッコイイのだ!

・良かった点② 声優たちがマジでいい仕事してる

アニメや吹替映画などにおいて芸能人が声優を務めることについては、いつだって賛否がつきまとう。かくいう私もどちらかというと「否」寄りの人間だ。著名な人物が吹替をすると、どうしても本人の顔が頭の中にチラついて作品に集中できなくなるからだ。

本作でも多くの役者さんやタレントが声優を務めているので心配でならなかったが、完全に杞憂(きゆう)でした。むしろメッチャメチャ良い仕事をしていた。見事にあのキャラクターたちに声を、そして命を吹き込んでいて、違和感をみじんも感じさせることなく『ドラクエ』の世界へと引き込んでくれたぞ!

・良かった点③ 「ビアンカ or フローラ問題」は、誰もが納得する設計に

本作の原案であるゲーム『ドラクエⅤ 天空の花嫁』で非常に重要なターニングポイントとなるのは、主人公(プレイヤー)が幼馴染であるビアンカとフローラ、どちらを結婚相手として選ぶか、である。ゲーム発売から20年以上が経つが、今もなおファンの間では「ビアンカ派」「フローラ派」の2大派閥に分かれている。

本作でもその「結婚」が描かれるとなると、両派閥の確執(かくしつ)が一層深まるのでは……と思われたが、実際に鑑賞してみたらアラびっくり。誰もが納得、そして笑顔で祝福できる安心設計となっていた。

少なくともこの映画においては “花嫁をめぐる論争” は起きないだろう……多分。

と、ここまでは『良かった点』を挙げてきたが、『残念だった点』もいくつかあったことも事実なので、こちらもネタバレなしで述べさせていただく。

・残念だった点① なぜ「キャラデザイン」が鳥山明ではないのだ!?

ドラクエシリーズといえば、堀井雄二氏(ゲームデザイン&シナリオ)、すぎやまこういち氏(音楽)、そして鳥山明氏(キャラクターデザイン)の3本柱で成り立ってきた。本作でも堀井氏とすぎやま氏は当然のごとくスタッフの一員として名を連ねているが……

本作で鳥山明先生は、キャラクターデザインを担当していない……!
なんでだよぉ! ドラクエといったら鳥山明先生のデザインだろぉ!?

これには正直、公開前から非常にガッカリした。ガッカリしすぎて、俺がファンを代表して映画の責任者にメガンテをかますこともいとわない覚悟だった。だってぇ~! 登場する「モンスター」は鳥山先生のデザインしたものなんだよ? それなのに肝心の「キャラクター」はそうでないなんて矛盾だよ~(ベースは “鳥山デザイン” とはいえ)

しかし、落ち着いて考えてみると『DRAGON QUEST -ダイの大冒険-』や『ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章』といった、鳥山明先生がキャラデザインしていながらも傑作のドラクエ作品があることも事実なので、そう考えたら本作についても許せる……かな。

・残念だった点② 展開、早えー(笑)

本作は、クリアをするのに40時間はかかるとも言われているゲーム『ドラクエⅤ』の要素をアレンジしつつも、基本的には大筋をほぼ全てブチ込んでいる。つまり、主人公の「少年時代」「青年時代・前半」「青年時代・後半」がギュギュッと詰まっているのだ──しかも103分という、昨今の映画作品としては比較的に短い尺の中に。

これには、さすがに “駆け足感” が否めなかった印象だ。もう、めまぐるしい。トントントントントーーン! と物語が進んでゆく。なんかもう、「走馬灯ってこんなんなのかな?(笑)」 っていう感覚。

筆者のように、ゲーム版をプレイしたことのある人間であれば、ある程度は記憶で補正できるだろう。とはいえ、2時間近くある「映画」だ。じっくり見せるところは見せてくれないと、観客は……ましてや “非・ドラクエファン” の観客は感情移入ができないのでは? と勝手ながらに案じてしまった次第だ。

一方で、あのゲームの中身をよくぞ103分に詰め込んだな……! と感心したことも事実である。

・映画もゲームも「ガンガンいこうぜ」


以上がネタバレなしで言える範囲の「試写会で鑑賞した感想」「良かった点」「残念だった点」だが、記事の冒頭でも触れたように、おそらく本作は公開されると同時に例の “驚きの展開” をめぐり賛否両論の嵐が吹き荒れることが予測される。

しかし、「作品」とはそういうものである。全員が「賛」あるいは「否」の作品なんて存在しないのだ。私も8月2日以降、本作を鑑賞した身近な友人や知り合いと「ドラクエ談義」をするのが楽しみである。

ちなみに、本作を鑑賞すると『ドラクエⅤ』のゲームが猛烈にやりたくなる。かくいう筆者も、iOS版のゲームを購入し、日々冒険にいそしんでいるし、9月に発売予定の『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて S』も当然買うつもりだ。2019年の夏~秋はドラクエの話題が尽きることはないだろうが、その熱い議論に参加するためにもまずは映画をご覧あれ。

参考リンク:『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』
Report:ショーン
Photo:RocketNews24.
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