【ネタバレなし】映画『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』を見た結果 → 思てたんと違ーーう! 賛否両論は必至か… それでも鑑賞をオススメする理由

「ねぇ『ドラクエ』の映画みた?」「みたみた!」「あそこの “アレ” 、率直にどう思った?」「もう、胸熱 & 最高っしょ! 号泣だよ」「マジで? 私は微妙だったわ……」「バッカだな~ “アレ” がいいんじゃん!」「う~ん、でも “アレ” がなくても……」

……と、こんな具合に賛否両論が巻き起こりそうな映画が、8月2日公開の『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』だ。筆者は一足先に試写会で鑑賞する機会に恵まれたのだが、今回は「ネタバレなし」でその感想を述べたいと思う。

・ひと言で感想を言うなら……「動揺」

まずは感想をひと言で述べると……月並みに「驚愕」とか「衝撃」でもいいのだが、スーパー正直に言わせてもらうと「動揺」である。決して悪い意味での「動揺」ではないが、かといって良い意味でもないことは強調しておく。

本編中に「そう~きたか……!」と唸ってしまうような、ある “驚きの展開” があり、思わず試写室のイスから転げ落ち……るほどではないが、それでもフツーの映画館で見ていたらビックラこいてポップコーンを落としていたかもしれない。それほど「動揺」したのだ。

なんなら動揺しすぎて笑った。と同時にグッときた。まぁ泣きはしなかったものの、当初「こんなカンジの映画だろうな~」と想定していた内容のナナメ上を行く展開で、完全に意表を突かれたのだ。ともかく色んな意味で心と感情が揺さぶられる、そんな作品だった。

と、まぁネタバレになるのであまり多くは語れないが、結論から言うとファンはもちろん、原作(『ドラゴンクエストⅤ』)をプレイしたことがない人も絶対に見に行ってほしい! この夏は間違いなくドラクエの話題で持ち切りになるだろう。(新作ゲームも発売されるし)

── はい! これで言いたいことは大体、言えました。このまま終わってもいいのだが、せっかくなので以下に私が思った「良かった点」「残念だった点」をネタバレなしでつらつらと述べていくぞ!

・良かった点① コレが見たかった! 動く「ドラクエ」の世界

ゲーム『ドラクエⅤ』におけるバトルシーンでは、実際に ”攻撃” をする様子が描かれておらず、斬撃のようなエフェクトが画面にちらっと映るだけ。♪ピロピロッ! デュクシッ! 的なサウンドで戦闘が進み、良くも悪くも淡泊だ。

しかし、フル3DCGアニメーションの本作では、武器を手にしたキャラクターたちが縦横無尽に動き回り、モンスターをズバーー! っと切り裂いては、手から攻撃呪文を迫力満点に繰り出すのだ。さらに蹴散らされたモンスターたちは、あたりにお金やお宝もブチまける。

……コレだよ、コレ! 子どもの頃、スーパーファミコンでプレイした時の脳内補正を見事に映像化しているのだ。古くからのゲームファンからは「動かないからいいんじゃあないか」という意見もありそうだが、だまされたと思って見てほしい。理屈抜きでカッコイイのだ!

・良かった点② 声優たちがマジでいい仕事してる

アニメや吹替映画などにおいて芸能人が声優を務めることについては、いつだって賛否がつきまとう。かくいう私もどちらかというと「否」寄りの人間だ。著名な人物が吹替をすると、どうしても本人の顔が頭の中にチラついて作品に集中できなくなるからだ。

本作でも多くの役者さんやタレントが声優を務めているので心配でならなかったが、完全に杞憂(きゆう)でした。むしろメッチャメチャ良い仕事をしていた。見事にあのキャラクターたちに声を、そして命を吹き込んでいて、違和感をみじんも感じさせることなく『ドラクエ』の世界へと引き込んでくれたぞ!

・良かった点③ 「ビアンカ or フローラ問題」は、誰もが納得する設計に

本作の原案であるゲーム『ドラクエⅤ 天空の花嫁』で非常に重要なターニングポイントとなるのは、主人公(プレイヤー)が幼馴染であるビアンカとフローラ、どちらを結婚相手として選ぶか、である。ゲーム発売から20年以上が経つが、今もなおファンの間では「ビアンカ派」「フローラ派」の2大派閥に分かれている。

本作でもその「結婚」が描かれるとなると、両派閥の確執(かくしつ)が一層深まるのでは……と思われたが、実際に鑑賞してみたらアラびっくり。誰もが納得、そして笑顔で祝福できる安心設計となっていた。

少なくともこの映画においては “花嫁をめぐる論争” は起きないだろう……多分。

と、ここまでは『良かった点』を挙げてきたが、『残念だった点』もいくつかあったことも事実なので、こちらもネタバレなしで述べさせていただく。

・残念だった点① なぜ「キャラデザイン」が鳥山明ではないのだ!?

ドラクエシリーズといえば、堀井雄二氏(ゲームデザイン&シナリオ)、すぎやまこういち氏(音楽)、そして鳥山明氏(キャラクターデザイン)の3本柱で成り立ってきた。本作でも堀井氏とすぎやま氏は当然のごとくスタッフの一員として名を連ねているが……

本作で鳥山明先生は、キャラクターデザインを担当していない……!
なんでだよぉ! ドラクエといったら鳥山明先生のデザインだろぉ!?

これには正直、公開前から非常にガッカリした。ガッカリしすぎて、俺がファンを代表して映画の責任者にメガンテをかますこともいとわない覚悟だった。だってぇ~! 登場する「モンスター」は鳥山先生のデザインしたものなんだよ? それなのに肝心の「キャラクター」はそうでないなんて矛盾だよ~(ベースは “鳥山デザイン” とはいえ)

しかし、落ち着いて考えてみると『DRAGON QUEST -ダイの大冒険-』や『ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章』といった、鳥山明先生がキャラデザインしていながらも傑作のドラクエ作品があることも事実なので、そう考えたら本作についても許せる……かな。

・残念だった点② 展開、早えー(笑)

本作は、クリアをするのに40時間はかかるとも言われているゲーム『ドラクエⅤ』の要素をアレンジしつつも、基本的には大筋をほぼ全てブチ込んでいる。つまり、主人公の「少年時代」「青年時代・前半」「青年時代・後半」がギュギュッと詰まっているのだ──しかも103分という、昨今の映画作品としては比較的に短い尺の中に。

これには、さすがに “駆け足感” が否めなかった印象だ。もう、めまぐるしい。トントントントントーーン! と物語が進んでゆく。なんかもう、「走馬灯ってこんなんなのかな?(笑)」 っていう感覚。

筆者のように、ゲーム版をプレイしたことのある人間であれば、ある程度は記憶で補正できるだろう。とはいえ、2時間近くある「映画」だ。じっくり見せるところは見せてくれないと、観客は……ましてや “非・ドラクエファン” の観客は感情移入ができないのでは? と勝手ながらに案じてしまった次第だ。

一方で、あのゲームの中身をよくぞ103分に詰め込んだな……! と感心したことも事実である。

・映画もゲームも「ガンガンいこうぜ」


以上がネタバレなしで言える範囲の「試写会で鑑賞した感想」「良かった点」「残念だった点」だが、記事の冒頭でも触れたように、おそらく本作は公開されると同時に例の “驚きの展開” をめぐり賛否両論の嵐が吹き荒れることが予測される。

しかし、「作品」とはそういうものである。全員が「賛」あるいは「否」の作品なんて存在しないのだ。私も8月2日以降、本作を鑑賞した身近な友人や知り合いと「ドラクエ談義」をするのが楽しみである。

ちなみに、本作を鑑賞すると『ドラクエⅤ』のゲームが猛烈にやりたくなる。かくいう筆者も、iOS版のゲームを購入し、日々冒険にいそしんでいるし、9月に発売予定の『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて S』も当然買うつもりだ。2019年の夏~秋はドラクエの話題が尽きることはないだろうが、その熱い議論に参加するためにもまずは映画をご覧あれ。

参考リンク:『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』
Report:ショーン
Photo:RocketNews24.
(C) 2019「DRAGON QUEST YOUR STORY」製作委員会 (C) 1992 ARMOR PROJECT / BIRD STUDIO / SPIKE CHUNSOFT / SQUARE ENIX All Rights Reserved.

ロケットニュース24は、あまり新しくないニュースを早く伝えたいという気持ちだけは負けていないサイトです。海外のニュースや、変なニュース、おもしろいニュースやネットでの出来事などを、8割くらいの力でお届けします。

あなたの閲覧履歴から
AIがオススメ記事を紹介します

「万引き家族」「未来のミライ」受賞逃す G・G賞

米アカデミー賞の前哨戦となる米映画賞「第76回ゴールデン・グローブ賞」の発表・授賞式が6日午後、米ロサンゼルス郊外のビバリーヒルズで開かれた。是枝裕和監督の「万引き家族」が外国語映画賞にノミネートされたが、受賞を逃した。 細田守監督の「…

ニッカンスポーツ・コム 芸能最新ニュース

他にはこんな記事もあります。
あわせて読んでみてください。

10日間の有給休暇が、会社員を映画監督に変えた。「遠回り」だと思った道が夢に通じていた。

長久允さん。三つ編みのお下げがトレードマークだ

貧困をなくし、みんなが平等に、平和に生きられる世界を目指す「SDGs」。2015年の国連サミットで採択された「持続可能な開発目標」のことで、「貧困をなくそう」「不平等をなくそう」といった17個の目標がある。

ちょっと難しそうなイメージもあるが、実は働く世代に関わる目標も含まれている。それが目標8番の「働きがいも経済成長も」だ。「すべての人が働きがいのある、人間らしい仕事をできるようにする」ことを目指している。

そんな働き方って、どうやったら実践できるんだろう?

電通のCMプランナーとして忙しく働きながら、長年の夢だった映画監督に挑戦した長久允(ながひさ・まこと)さん(34)に、好きなことを続けられた理由を聞きに行った。

 

■「決してスタークリエイターじゃなかった」

長久さんは2007年に電通に入社し、CMプランナーとして活躍してきた。10日間の有給休暇を使って撮影した短編映画「そうして私たちはプールに金魚を、」が、2017年に若手の国際的な登竜門として知られる「米サンダンス映画祭」の短編部門でグランプリを獲得した。その後、会社に身を置きながら、業務として映画を作る道を自ら切り開いた。今年6月には、初の長編映画「ウィーアーリトルゾンビーズ」が公開された。

一見華々しく見える経歴。だが、「そうして私たちはプールに金魚を、」を撮ったのは、自分のキャリアに深く悩んでいた時期だったという。

2012年8月。埼玉県狭山市で、中学校のプールに大量の金魚が放流される「事件」があった。その後、夏祭りの売れ残りの金魚を譲り受けて放流したとして、女子中学生4人が建造物侵入と器物損壊の疑いで書類送検された。

「プールに400匹の金魚、女子中学生『一緒に泳いだらきれいだと思って』」

Yahoo!ニュースのトピックスに載ったそんな趣旨の見出しが、長久さんの目に飛び込んできた。

当時、クライアントから信頼を得て、忙しく働いていた。「決してスタークリエーターではなかった」というが、クライアントのメッセージを翻訳し、より広く伝えるというプランナーの仕事にまい進していた。

ただ、もともと映画が好きで、趣味でシナリオも書いていた。「このまま仕事を続けていて良いのか」と悩みながらも、行動を起こせずにいた。そんななか目に入った中学生の思い切った行動が、強く印象に残った。

「本当に『きれいだと思ったから』と言ったのかな、大事な動機は他にあったんじゃないかなと思った。わかりやすく、ニュースになりやすい言葉が1行に凝縮され、消費されていく感覚があった。この1行に入らなかった思いを映像化したいという使命感が、勝手に生まれたんです」

実際に狭山市で取材を重ねてシナリオを作った。10日間の有給休暇で撮影したデビュー作がいきなり、国際的な評価を得た。

■育休中、コンビニでシナリオを書き上げた

それから、会社の幹部にかけあって部署を異動。業務として映画制作ができる環境を自ら切り開いた。

「自分自身をプレゼンテーションすることは初めてだったけど、十年も会社でプレゼン能力を鍛えてもらっていましたから、理解してもらえました」

2作目の「ウィーアーリトルゾンビーズ」の着想も、実際に起きた事件のニュースからだった。

そのニュースは、何者かがSNSを通じて若者らに指令を出すゲームで、最終的には自殺を促され、ロシアなどで多くの自殺者が出たという衝撃的なもの。

「ニュースを見て、何かに悩んでいるローティーンの子たちを救うことができないかと、考えずにいられなかった」

当時は育児休暇中。妻と時間を調整し、1日30分間だけ近所のコンビニのイートインコーナーでシナリオを練る時間をつくった。1カ月半ほどで書き上げた。

■あいまいさやユーモアが人を救うこともある

映画「ウィーアーリトルゾンビーズ」

物語はこんな内容だ。事故や自殺で両親を亡くしたばかりの中学生4人が偶然出会う。悲しいはずなのに泣けなかった「ゾンビ」みたいな4人が、ひょんなことからバンドを組む。バンドは大きな社会現象になるが、運命に翻弄された4人は、冒険の途中で、何かを見つける――。

同作は米サンダンス映画祭で審査員特別賞を日本人として初めて受賞。ベルリン国際映画祭では、若者向け映画を対象とした「ジェネレーション14プラス部門」で特別表彰を受けた。

日本国内でも6月から全国公開が始まった。当初、観客動員数はふるわなかったというが、一度上映が終わった地域でも、反響が広がってミニシアターで再上映が始まったところもあるという。

印象に残ったのは、10代の子どもの親からの反応だという。「うちの子に見せたら楽になったみたい」「映画を見た後、久しぶりに子どもと会話が出来た」と感想が寄せられた。

 

映画「ウィーアーリトルゾンビーズ」

1作目も2作目も、主人公は生きづらさを抱える10代の子どもたちだ。

「僕自身、中学生くらいのときに色々と悩んでいたんですが、時にはユーモアやニヒリズムに逃げて、何とか絶望感に対峙せずに済んだんですよね。そういう経験を、映像に落とし込めないかと思った」

「ウィーアーリトルゾンビーズ」では、子どもが親からの暴力に苦しむ場面もある。

「子育てしていて思うのは、子どもの豊かな感情を親や社会が抑えたり、評価したりするのはおかしいということ。子どもはそのままで良いんだよというまなざしを、伝えたかった」

「クラスにいる30人のうち、たとえ28人には刺さらなくても、悩みを抱えている2人に何かを感じてもらえたら、うれしい」

 

映画「ウィーアーリトルゾンビーズ」

劇中で子どもたちは、親の死という絶望的な状況に直面しながらも、その状況を客観視したようなひょうひょうとした表情を見せる。

あいまいさや、ユーモアが人を救うこともありますよね。でも社会の風潮として、『夢を持とう』『ポジティブでいよう』と声高に言われる。そうじゃなくても良いと思うんですよね。とにかく絶望さえしなければ良いと思う」

「今の世の中、はっきりと言語化できるコンテンツしかないような気がして。僕は作り手の責任として、あいまいさやユーモアを表現することを狙っていきたい」

■取材を終えて

私は長久監督と同世代。会社員として働いていると、当然ながらいつも自分がやりたい仕事だけができるわけではなく、「自分がやりたいことって何だったのかな?」と悩む場面に何度も直面します。

でも、目の前の仕事に追われているうちに、次第に考えることをやめてしまいがちで…。

映画に挑戦するまで、「これで良いのか」と悩み続けてきた長久さんですが、広告の現場で鍛えられたプレゼン力やプロデューサー的な視点が、いま、映画のプロモーションの場面でとても役に立っていると言います。

長久さんのこんな言葉が印象に残りました。

「遠回りだし、道はそれていると思っていた。でも結果を見てみると、この道を通らなければ映画監督になれなかったと思う」。

「遠回りに見えても、無駄なことはないのかも」。そう思うと、少し気持ちが楽になりました。

HuffPost Japan – Athena2 – All Posts