タワーレコード『NO MUSIC, NO LIFE.』ポスターに、“寅さん”登場!

■ポスターには、 映画『男はつらいよ』50周年プロジェクトの中で偶然発見された、若かりし頃の車寅次郎の写真を使用。山田洋次監督書き下ろしのメッセージも!
タワーレコードの『NO MUSIC, NO LIFE.』ポスター意見広告シリーズ最新版に、今年50周年を迎え、年末に新作が公開される映画『男はつらいよ』の主人公である車寅次郎(渥美清)が登場する。

このポスターは、タワーレコードおよびTOWERmini全店で7月19日から順次掲出される。

■タワレコ40周年企画ポスター第3弾
タワーレコードの40周年企画としてこれまで日本のカルチャーに多大な影響を与えてきた人々にフィーチャーし…

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ほろ苦い青春映画にして、最高の音楽映画『あの頃ペニー・レインと』

文=赤尾美香/Avanti Press

「Blue jean baby……♪」で始まるエルトン・ジョンの「かわいいダンサー(マキシンに捧ぐ)」を聴くと、瞬時に『あの頃ペニー・レインと』のワンシーンが鮮やかによみがえり、胸がキューッとなる。

ロック・バンドのツアー・バスの中、すったもんだの後ラジオから流れてきたこの曲をみんなで歌うシーンが、好きで好きでたまらない。音楽が持つ“魔法”をこんな風に見せてくれる映画があるのかと、嬉しくて、この映画を見返すたびにここで涙腺が緩んでしまう。

キャメロン・クロウ監督による『あの頃ペニー・レインと』の原題は、“Almost Famous”。アメリカでの公開は2000年(日本は2001年)で、かれこれ20年近くも前の作品になるのか、と驚く。なぜって、私の中には、初めて観た時の鮮烈な印象が少しも色あせずに残っているからだ。

キャメロン・クロウ監督の自伝的ストーリー

アカデミー賞脚本賞を受賞した本作、物語にはクロウ監督の自伝的要素が強い。舞台は1970年代。主人公のウィリアムは15歳にしてアメリカを代表するカルチャー雑誌「ローリング・ストーン」の記者に抜擢され、ロック・バンド=スティルウォーター(バンドは架空)のツアーに同行し記事を書くことになる。

右も左もわからない彼にやさしく手を差し伸べてくれたペニーに恋をするウィリアム。親切で、笑顔は愛くるしく、奔放な振る舞いの中にもユーモアがあり、そして「私たちはグルーピーじゃない。バンド・エイドよ」と毅然と言うペニーのすべてにウィリアムは惹かれていく。

けれどペニーは、スティルウォーターのギタリスト、ラッセルにご執心で、二人はつき合うことになる。ラッセルには地元に恋人がいることを誰もが知っていたけれど。そんなペニーを心配するウィリアムだったが、一方でバンドとはツアー生活を共にしながら互いに信頼関係を築き、「お前なら、何を書いてもいい」というお墨付きまでもらって記事を書く。

ところが、出来上がった記事をバンドが否定。深く傷ついたウィリアムのために一肌脱いだのは、ラッセルと別れ悲しみの中にいたペニーだった──。

絶妙なキャスティングが青春物語をみずみずしく彩る

ペニーを演じたケイト・ハドソンは、アカデミー女優ゴールディ・ホーンの娘で、幼少期から芸能活動もしていたが、1998年頃より女優業を本格化。本作でブレイクしたと言っていい。キュートなルックスで天真爛漫、小悪魔的なところも覗かせるペニーを演じるのにケイト以外に誰かいただろうか? と思えるほどのハマり役。私の周囲にも、スクリーンの中のペニーにメロメロになった男性がごまんといた。

ウィリアムを演じたパトリック・フュジットは、クロウ監督のティーンエイジャー期同様、童顔であることもキャスティングの決め手だったそうだが、バンド・エイドのお姉様たちにも可愛がられる“チェリーボーイ感”満載で、これまたハマり役だった。

ラッセル役にビリー・クラダップ、ウィリアムの母にフランシス・マクドーマンド、姉にズーイ・デシャネル、さらにはウィリアムに助言を与えるベテラン音楽ジャーナリスト、レスター・バングスにフィリップ・シーモア・ホフマン(2014年死去)と脇固めも万全。

非常にマニアックな洋楽ファン的視点で言うと、ホテルの部屋で演奏しているどこぞのミュージシャンが知る人ぞ知る孤高のシンガーソングライター、マーク・コズレックじゃないか! という発見に色めき立ったりもした。

ロック・ジャーナリズムの根源に迫る痛切なシーン

が、なんと言っても、ウィリアムとペニー、それぞれの成長をバンドのツアーというある種特殊な環境下でリアルかつリリカルに描き出すことができたのは、やはりクロウ監督の実体験があってこそ、だ。

監督は16歳の時にオールマン・ブラザーズ・バンドのツアーに3週間密着してバンドやスタッフに取材した経験があり、その後も「ローリング・ストーン」誌上においてレッド・ツェッペリンやイーグルス、デヴィッド・ボウイら70年代のバンド、ミュージシャンに数多く取材し記事にしている。

幼い頃から熱烈な音楽ファンであった彼は、ファンの気持ち、ジャーナリストの気持ち、ミュージシャンの気持ち、すべてに精通していると言っていい。ちなみに本作を撮影した時期にはシンガーのナンシー・ウィルソン(ロックバンド「ハート」の中心メンバー)と婚姻関係にあった。

音楽ライターとして業界の末端にいる自分にとって、ウィリアムの記事が否定されるシーンは、とりわけ辛く、悲しく、腹立たしかった。もし自分にこんなことが起きたらと思うと、身体中の力が抜ける気がした。

何日も寝食を共にし、語らい、時には口論もし、毎晩バンドのステージを観る。ウィリアムにとって記事を否定されたということは、彼らと過ごした時間と出来事、その中で培われたすべてのものが否定されたということに他ならない。

業界の手垢に染まっていない純なウィリアムの気持ちと志に、私もまた初心を思い出す……私がこの映画を好きな理由には、そんなこともあるかもしれない。

いつ見ても、音楽が持つ魔法を信じさせてくれる

今や“ロックは死に体”と言う人もいる。この数年、いや十数年、世界的な音楽トレンドはポップでありヒップホップであり、R&Bであり、ロックなど年寄りの懐古趣味でしかない、と。

確かに本作を観ながら、ロックがロックらしく輝いていた70年代を思い、羨ましく思う気持ちがあるのは事実だ。そもそも80〜90年代育ちのロック・ファンにとって、70年代ロックの時代は永遠の憧れでもある。でも、私が繰り返しこの映画を観るのは、それだけが理由ではない。

経験の中身は違っても、青春期特有の甘酸っぱくて、ほろ苦いフィーリングは多くの人の身に覚えがあるもので、それを懐かしみたいというのもある。それに、誰かが何かに懸命になっている姿は自分にも活力を与えてくれる。ウィリアムしかり、ペニーしかり、必死でバンド活動しているスティルウォーターの面々しかり。

ペニーたちは、普通の大人から見たら“グルーピー”という言葉で片付けられてしまうけれど、彼女たち自身は「そうじゃない」と言うし、見ているうちにこちらも「そうじゃない」と思えてくる。何というか、そういう寛容さともどこかで繋がっていたいと思う。“自分とは違う”ものを否定する前に吟味する、みたいな。

そしてもちろん、音楽が持つ魔法を信じたい、というのは私が未だにこの映画を観るにあたっての、揺るがぬ理由のひとつであり続ける。

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