周防正行『カツベン!』に込めた思いを語る

 『Shall we ダンス?』『舞妓はレディ』で知られる周防正行監督が8日、来年6月に開館100周年を迎える東京・新宿の映画館「武蔵野館」で行われた、100周年記念企画のトークショーに登壇。12月公開の最新作『カツベン!』で、およそ100年前の無声映画の活動弁士の活躍を取り上げた周防監督は、大正末から昭和にかけ、武蔵野館に所属し人気を得た徳川夢声や山野一郎などの活動弁士に思いを馳せながら、無声映画の魅力や、新作『カツベン!』に込めた思いを語った。この日は聞き手として、活動弁士歴45年を数える第一人者、澤登翠も登壇した。

 周防監督は、自身の無声映画体験を「国立のフィルムセンター(現国立映画アーカイブ)に行ってよく観ていたんですが、そのときは当然、音楽も活動弁士もいない本当にサイレントな状態でした」と振り返り、「そんな観方は実は特殊です。本当の無声映画の時代って、弁士が語り、音楽が生で鳴り、観客からは『待ってました』の声がかかる。映画館はとってもにぎやかでした。こんな観方をしたのは、実は日本だけだったというのも、僕には衝撃的で。日本映画がスタートした頃の雰囲気、人々に愛されたその時代を撮りたいと思ったのがきっかけです」と新作に至る動機を明かした。

 『カツベン!』では、活動弁士になることを夢見る主人公を成田凌が演じ、永瀬正敏、高良健吾が現役の活動弁士として登場する。「当時の弁士は自分で口上の台本を書き、それぞれの個性で勝負した。徳川夢声さんは、自分にヤジが飛ぶと、それに返したといいます」と周防監督。「映画は、双方向でライブだったんです。人気の夢声さんは、自分の語りで(映画館に)客を呼ぶんだという意識も強かったのでしょう」と見解を述べた。

 さらに「こうしたスタイルは、誰かが発明したのではなく、浄瑠璃や講談、浪曲など日本独特の語りの芸からできあがったらしいというのも、無声映画の魅力ですね」と続けた周防監督は「日本映画の誕生に、活動弁士というものがあったんだということを、改めて知ってほしいですね」と話していた。

 1920年6月に開館した武蔵野館では、来年の100周年に向け、今後1年間にわたって記念企画を展開していく。皮切りとなる6月は「語り継がれる名作バトン」と題し、徳川夢声らの活動弁士が所属した歴史を踏まえた特集を上映。現在活躍中の活動弁士の澤登や坂本頼光の語りと生の音楽伴奏で楽しむ「活弁上映会」を実施する。(取材・文/岸田智)

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徳永えり、男女の友情に言及!『月極オトコトモダチ』初日舞台あいさつで

 女優の徳永えりが8日、新宿武蔵野館で行われた映画『月極オトコトモダチ』初日舞台あいさつに出席。作品にちなんで「男女の友情は存在するのか」という質問が投げかけられると「存在すると思います」と笑顔で答えていた。

 本作は、穐山茉由監督が「男女の間に友情は存在するのか」という答えの出ないテーマに果敢に挑んだ意欲作。徳永は「男女関係にならないスイッチ」を持った男性を通して、自ら実験台となりコラムを執筆するWebマガジンのアラサー編集者・望月那沙を演じた。舞台あいさつには野崎智子、山田佳奈、穐山監督も出席した。

 徳永は、最初にオファーを受けたとき「男女の友情は成立するのかという答えの出ないものに挑む監督の強さに惹かれました。わたしが演じた那沙という女性は、つかみどころがなく、どこを主軸にして役柄を作っていったらいいのか悩みました」と心情を吐露する。

 それでも撮影現場では、那沙という女性を理解しようとさまざまなアイデアを取り入れたという徳永。穐山監督もそんな徳永の芝居を観て、那沙という女性の精度が上がってきたというと「細かいところまで芝居で表現してくれて、みるみるうちに那沙ができあがっていきました」と徳永の芝居に対する真摯な態度に感謝していた。

 「男女の友情」というテーマに話題が及ぶと、徳永は「わたしは存在すると思います」ときっぱり。続けて「でも男女の境界線というのは、本人たちが決めればいいもの。男女のどちらかが恋愛感情を抱いてしまえば、答えは出さなくてはいけないと思いますが、他人がとやかく言うことではないと思います」と持論を展開していた。(磯部正和)

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