日本の社会問題、『万引き家族』

 昨年のカンヌ映画祭で最高賞のパルム・ドール賞を獲得し、今年のアカデミー外国語映画賞にノミネートが決定した『万引き家族』。オバマ米前大統領もSNSで昨年のベスト10に同作品を挙げており、海外からの評価も高い。伯国では10日から上映が始まった。
 出演は大河ドラマ『龍馬伝』にも出演したリリー・フランキー、現在NHK連続テレビ小説『まんぷく』で主人公の立花福子を演じる安藤サクラ、昨年亡くなったベテラン女優樹木希林などの実力派俳優を集め、是枝和弘氏が監督・脚本・演出を手がけた力作だ。
 伯国では邦画上映が少なく寂しい思いをしていたので、早速コンソラソン駅近くの『シネセスキ』へ観に行った。客層はほぼ非日系人。年齢層は20代から60代までと幅広かった。
 感想としては「ブラジルではあってもおかしくない家族だが、場所が日本なら社会問題になるのか」というもの。日本にだって貧困問題もあれば泥棒もいる。その現実を繊細な人物描写で描いた是枝監督はさすがだ。
 ちなみに、非日系人が珍しそうな様子で笑い声を上げていたのは、高校生の女の子が風俗店で働いているシーン。確かに伯国にはありえないお店であり、日本人の恥ずかしい部分を海外にあえてさらけ出している感じで、伯国在住者としては微妙な気持ちになる描写だと感じた。(有)

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<金正恩氏>訪中時の「屈辱のメモ取り場面」 中国では反復放送 北の放送ではカット

北京での歓迎式典に臨んだ朝中両首脳。2019年1月10日の中国中央電視台ニュースより。

金正恩氏が1月7日から10日まで中国を訪問し、習近平主席と4回目の首脳会談を行った。二人の対面と会談の様子は、両国のテレビメディアが放送したが、扱いと演出が大きく異なっている。

[関連動画を見る] 金正恩氏の屈辱「メモ取り場面」 北と中国の映像を見比べる

北朝鮮の朝鮮中央テレビは、金正恩氏一行の平壌出発から帰国までを、48分余りのドキュメンタリーとして放送。全編が、国賓として暖かく歓迎されたというトーンで、習近平氏との対面する場面にわざわざスローモーションを使うなど、両首脳の親密さ、朝中親善を強調する演出・編集になっている。

他方、中国の中央電視台は、約11分のニュースとして紹介している。そのうち約9分を首脳会談と儀典の場面が占める。北朝鮮の放送と比べると実務的でそっけない。
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北京での歓迎式典に臨んだ朝中両首脳。2019年1月10日の中国中央電視台ニュースより。

◆屈辱的な金正恩氏の「メモ取り場面」を繰り返した中国

編集も随分異なった。大きなテーブルを挟んで会談する場面では、北朝鮮の放送は金正恩氏の発言シーンを長く取り、それを習近平氏が頷きながら聞いているシーンが目立つ。習近平氏と金正恩氏が対等の関係であることを印象付けようとするのが編集の狙いだろう。

一方、中国のものは、習近平氏が話すのを、金正恩氏が真剣に傾聴しているシーンが多用され、金正恩氏が一生懸命メモを取っている場面を三度も登場させている。まるで、講義をありがたく受けている生徒のような描き方だ。

金正恩氏の初訪中(2018年3月)の時も、「メモ取り場面」がこれ見よがしに繰り返し使用されていた。もちろん北朝鮮の放送では、この屈辱的なカットは外されている。

朝中の映像を見比べると、両首脳が揃う一連の映像は、同一のカメラで撮影されたもののようである。おそらく中国側が撮影を担当して、素材映像を北朝鮮側に提供したのだろう。

公式会談の場での撮影は、当然両国で事前協議があるはずだ。とすると、屈辱的な「メモ取り場面」は、中国から金正恩氏に「メモをしなさい」と要請があり、それを北朝鮮が受け入れた可能性がある。この「メモ取り場面」は、現在の朝中の関係を象徴しているように見えた。(石丸次郎)

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